2006.8.12

こんなところで〈対話法〉が役立っています!

このページでは、対話法研究所に寄せられた具体的な実践のいくつかを紹介します。
〈対話法〉は、ここで紹介するようなケースだけでなく、職場や家庭でのあらゆるコミュニケーション場面で役立ちます。

■皆さんからの実践例・体験談を募集しています■

生徒同士のトラブルへの対応 お母さんの実践 窓口でのクレーム対応

統合失調症の家族との電話 議長としての実践 小学校の授業での実践

独り暮らしのお婆ちゃんへの電話での対応

小学校のクラブ活動での実践 リンク


●学校の先生による生徒への対応(上越〈対話法〉研究会代表・江川さん経由の報告です)

 私の知り合いの小学校の教員の方で、〈対話法〉を子どもたちのトラブルへの対応に役立てている人がおられます。何か起きてもこれで対処していけば よいと思うと、腰がすわる感じがすると言っておられました。 以下は伺ったお話です。

 今までは、子どもたちのトラブルに対して、解決しなければならない、指導しなければならない、という思いが先に立っていました。 でも最近、〈対話法〉の原則を使うようになってからは、初めから指導してなんとかしようとしなくなりました。

 まず、「何が起きているのか」「何を言いたいのか」を子どもたちに確認します。 確認すると、私がいろいろ指導しなくても、この後どうしたらよいのか子どもたちは自分で考えて行動します。そして、自分の姿を振り返り、自分で解決していけるようになります。

 また、指導だけしていた時は、その後、一方的だったなぁと反省し、後悔するという、いやな気持ちになることが多かったです。 でも、〈対話法〉を使うようになってからは、子どもたちの一番身近にいる担任としての役割を、少しは果たせたかなぁと、満足感も味わっています。(2003.7.16)

●お母さんによる子どもへの対応

 〈対話法〉の練習を3回しましたが、成果を発揮できるのはいつかなと思っていましたところ、先日、ついにやりました。

 先日、子どもたちに水着を持たせたのですが、それぞれのバッグに、AとB(子どもの名前)の水着を間違えて入れてしまいました。
 学校に着いても間違っているのに気がつかずにいたら、友達にからかわれて、殴り合いの喧嘩になってしまったそうです。

 家に帰ってきてから、なんとなく、Aは元気がないなと思っていたところ、寝る頃になって、

「今日ね、喧嘩したんだ」と言い始めました。

 私が間違えたのが発端だったのに、普段なら、
「自分で確かめてよ」
とか、
「そんなことでいちいち怒ってたらだめだよ」
と言って終わりなのに、今回は、あっそうだと思い直して、〈対話法〉の要点確認技法で対応してみました。

子ども:だって、お母さんが間違えた。みんながからかって笑うから……。
母 親:からかわれていやだったんだね。
子ども:……うん。
母 親:ちょっと、元気がなかったのは、そんなことがあったからだね。
子ども:……うん。学校行きたくない。
母 親:喧嘩したから、行きたくないんだね。
子ども:……うん。
母 親:いつもは仲がいいんでしょ。
子ども:……うん。
母 親:ちょっとやりすぎちゃったなと思ってる?
子ども:……うん。でも、向こうがすごくバカにした。
母 親:謝りたくないんだね。
子ども:うん。
母 親:そういう場合、仲直りしないとどうなるの?
子ども:いつか、普通に戻ってる。
母 親:その間、なんとなく気持ちが重くなるよね。
子ども:……うん。

と、ここまできましたが、なかなか進まず、今日は寝よう、と終わりにしました。

 朝、起きてきて、

子ども:おかあさん、どうしよう?(学校に行きたくないんだけど、どうしようの意味かな?)
母 親:どうしたらいいか自分で考えてみて。
子ども:うん。

その後、まるで何事もなかったように普通に出掛けていきました。

夕方、帰ってきて、

「仲直りしたよ」と一言。

そして、
「また、喧嘩したいねって友達が言うんだ」
「(小学校卒業したらお祝いに)友達みんなとカーボーイのバイキングに行くんだけどいい?」

ああ、よかったという感じです。

 まだまだ〈対話法〉はうまくできませんが、息子の気持ちに寄り添うことはできたかなと思いました。こんな感じで使っていけばいいのかなと考えています。(2003.7.16)

●公務員Tさんの窓口での対応(福島対話法研究会代表・歌織さん経由の報告です)

 公務員Tさんから、「窓口に来られる町民の苦情の受け付けに役立っています」という報告があります。

 「確認技法で受け付けると、『そうなんだ、でも、あんたのせいじゃないよな……』と一呼吸あって、相手の方の頭の血が下りてくるのが分かる」と言っていました。

 「今までは、なかなか怒りが鎮まらなくて、こちらも萎縮してしまったのに、短時間で落ち着きを取り戻して、肝心な問題(何が起きて困っているのか、どういう助けが欲しいのか)について話しを聞くことができた」と言います。(2003.2.11)

●統合失調症のご家族(離れて住む妹さん)との電話での会話

 妹が精神の病気になり、〈対話法〉を使わない対応の時は、妹の悩み事は同じことの繰り返しで、最後は私の方が疲れてしまって(アドバイスをしすぎて)、怒って電話を切るような感じでした。

 妹の状態が悪いときには、彼女も大変な興奮状態になり、何度も電話をかけなおしてくるような時もありました。私は、うるさいので電話線を抜いて寝る日々もありました。

 でも、〈対話法〉で対応すると、話が前に進むのです。繰り返すこともありますが、2回くらいですね。納得して、次の話題に行きます。そして、話しているうちに気分が良くなるようで、明るく電話を切ります。話している時間も短くなりました。(2003.2.12)

●福島対話法研究会代表・歌織さんの議長体験

 とある会を立ち上げようとした方のご紹介で、ワークショップ型会議のファシリテーターを務めました。
 インタビューゲームと、「確認技法」という〈対話法〉の原則を駆使して、「本音で前向きに議論する会」をデザインしてみました。

 初めに設定した目標は、以下のことを参加メンバーに持ち帰っていただくことでした。

・忙しい時間を割いて ここまで来て良かった。
・こういう会議の進め方があるのか。
・皆が安全に言いたいことが言えた。
・歌織さんはこういうことをしている人なのか。

最終的には、

・この会のメンバーが定期的に顔を合わせると、有効な情報を交換できるだけでなく、ストレス解消の場、癒しの場になるかも知れない。

と感じて頂けたようです。

 何よりも 同時間を共有したことで参加者の「信頼感」が深まったことが全員の収穫だったと思います。(2003.2.8)

●小学校の授業における〈対話法〉をつかったゲーム(いただいたメールに若干手を加えて掲載します)

 ようやく終業式を迎え、2学期が終わりました。

 ところで、2学期も終わりに迫った頃、ついに〈対話法〉が我がクラスでデビューしました。ゲーム感覚で〈対話法〉らしきものをやってみたのです。

 ただ、子どもたちに〈対話法〉と言ってもうまく伝わらないと思ったので、とりあえず、「○○な気持ちを分かち合おう」の道徳の時間の活動にしました。

 初日は、黒板に書いた文から想像できる○○な気持ちを「〜なのね」「〜だったのですね」で返す練習をしました。意外と子どもたち、いいところをとらえて返していました。

 要領を得たところで、私が言ったことから気持ちを想像して確認してもらう練習をしましたが、これが結構、盛り上がった!

「先生は怒っているのですね」
「そう、そう」
「話をきいてくれなくて、残念な気持ちなのですね」
「うーん、その通り!」

 即実践できる子どもたち。やはり頭がやわらかいですね。

 2日目は、4人グループで話し手を順番に変え、30秒話したら、3人が1分間の間に手を上げて、できるだけたくさん気持ちを確認する。また話し手を変えて同じことを一巡しました。
「よーい、スタート!」
のかけ声で、わーわー、キャーキャー言いながら、ゲーム感覚でやってました。

 一人、何も言えずに1分間、黙っていた子に、確認者の1名が、

「何を言っていいのか分からなくて、困っているのですね」

と返したのには、たまげました!
 子どもってすごい!何にも説明しなくても、その子のそのままをしっかり受け止めている。感動ものでした。

 もう一つ、感想として、話し手になった子が、

「はじめに返してくれたことが違っていたけど、合うまであきらめないでまた言ってくれたのが嬉しかった」

と言いました。
 まさに、「合ってることよりも確認する行為が大事」ということが子どもにも伝わっているのでした……。

 うん、これは使える!帰りの会でのスピーチの確認、学級会での意見の出し合いの確認、授業での友達の意見の確認……と、あれこれ浮かんできますが、まだ心の中だけです。
 4年生でもできる、ってことが分かったのが収穫です。

 こんなところから、少しずつ〈対話法〉が広がっていることをお伝えしました。

●独り暮らしのお婆ちゃんへの電話での対応(「日本対話法研究会」会員takaさんからの実践報告です)

 ある独り暮らしの80代のおばあさんから、夜8時になると定期的にお電話を頂きます。最初は、聞いていてびっくりするような内容だったので、慌てて家に駆けつけたりしましたが、聞いたり調べたりしているうちに、「幻聴」を聞いておられて、そのことを毎日僕に報告してくれているということがわかりました。30分ぐらいは同じことを何度も繰り返して、翌日も翌日も……。

 最初の頃は、「なにこれ?」状態でしたが、「そうだ、こういう時こそ〈対話法〉」と思いながら、おばあさんの気持ちになって要点を確認しながら聞いていると、安心されるのか、電話を置かれます。

 だんだんと、「はは〜ん、今はとても淋しい気持ちなんだなぁ」とか「不安がおありなんだなぁ」とか「今日は楽しいことがあったみたいだなぁ」とか、わからせて頂けるようになってきました。声の二ュアンスも日によって違うんですよね。

 これまでは、自分が忙しい時間にはイライラしながら聞いていたことが恥ずかしくなりました。
 きっと神様が、「このおばあさんから学びなさい」と、感情に走りやすい自分の心を気付かせて下さったのでしょう。おばあさんと喜びも哀しみも共有しながら、自分を高めさせて頂きたいと思うようになりました。